今回は、比較的広く流通している「トリマネンシス」です。
カラフルでロゼットがきれいなエケベリアと比べると、シックで落ち着いた雰囲気です。
一見すると大人しく見えがちですが、近くで見てみると色々な見え方がしてきます。
そんなトリマネンシス独特の魅力について紹介します。
基本情報
学 名 | Echeveria tolimanensis(トリマネンシス) |
自生地 | メキシコのイダルゴ州、ケレタロ州、タマウリパス州に分布 |
来 歴 | 1955年にメキシコ大学教授の 松田博士 によって、イダルゴ州 Barranca de Tolimán の 標高1900-2000mの立岩上で発見 1958年に海外の文献にて初めて掲載 |
語 源 | 産地のBarranca de Tolimánに由来 ensisとは、ラテン語で「剣」の意味 |
タイプ | 複数の地方種がある ・tolimanensis, Arroyo Blanco ・tolimanensis, Rio Toliman ・tolimanensis, Tula |
タイプ別比較
トリマネンシスは、日本人が発見した原種ということで、なんだか愛着がわきますね。
tolimanensis, Rio Toliman
(リオ トリマン)
基本種と比べると、ファセットラインが出ておらず、やや細身の葉になっています。
販売情報
基本種は広く流通しており、ホームセンターや園芸店でも安価で入手できることがあります。
魅力/特徴
トリマネンシスの魅力は、なんといっても葉に浮き出る模様とギュッと詰まった肉厚のロゼット。
やや角ばった葉の成長に合わせて、薄く覆われた白い粉によって作り出させる切子面は、自然の芸術作品です。
太くたくましい葉がギュッと詰まった姿を見ると、まるで彫刻や宝石のような完成度の高さを感じます。
見方を変えると、粉を吹いた鰹節のような・・・
いや、クリスタルのような美しさを感じることも。
このような模様は「ファセットライン」と呼ばれています。
昔から ウォーターマーク として馴染み深いですが、グローバル標準ではないようです。
これから徐々に置き換わっていくものと思われます。
画像は恐らくRio Tolimanというタイプで、古くから出回っているものだと思います。
近年では、葉が細めになったり爪が強調された地方種もみられるようになり、比較してみるのも面白いです。
同じトリマネンシスでも、花の色がオレンジ色や朱色に近いものもあります。
コロラータ、チワワエンシス、ザラゴーサ などの花と似ていますが、花びらがやや長いかもしれません。
育て方のコツ
トリマネンシスは、慣れないうちはなぜかうまく育たないという経験をするかもしれません。
それほど暑さや寒さに弱いタイプでもないのですが、成長がゆっくりであまり大きくなりません。
そのため、夏場に葉が枯れてしまうと、サイズが小さくなりがちです。
春の成長期に緩効性の肥料を入れてあげると元気な姿を維持できるかもしれません。
交配種
トリマネンシスは、交配ブームになってからさまざまなエケベリアとの交配種が見られるようになりました。
優しい色合いが活きている交配種をよく見かけます。
トリマネンシス × リンゼアナ
トリマネンシスは、コロラータ系と交配すると、均整の取れたロゼットにファセットライン(ウォーターマーク)が引き継がれて魅力的な容姿になります。
今後もトリマネンシスの特徴が活きた交配を見られるのが楽しみです。
以上、トリマネンシスの紹介でした。
元祖ファセットライン(ウォーターマーク)のエケベリア、きれいに育ててみませんか?