真っ赤な紅葉の元祖、相府蓮(プロリフェラ)の魅力と育て方【多肉植物・エケベリア原種】

今回は、古くから国内で親しまれている「相府蓮」です。

相府蓮は、アガボイデス という原種の仲間です。
アガボイデスは非常に多くのタイプがあるため、まとめて紹介するとかえって魅力が伝わりにくくなります。
よって、仲間の1つである相府蓮を切り出して紹介します。

目次

基本情報

学 名Echeveria agaboides ‘Prolifera’ (プロリフェラ)
和名:相府蓮
自生地メキシコシティの C. Halbinger 氏の庭で栽培されたもの
語 源増殖しやすいことに由来
来 歴1972年にagavoides var. prolifera(アガボイデスの変種)として紹介されたが、のちに栽培品種に変更
1960年代に、魅惑の宵、相生傘とともに国内に輸入されたといわれている
タイプアガボイデスには、Prolifera の他に以下の栽培品種がある
● agavoides ‘Corderoyi’
● agavoides ‘Ebony’
● agavoides ‘Multifida’(’Red Edge’)
● agavoides ‘Romeo’
● agavoides ‘Romeo Rubin’

タイプ別比較

‘Corderoyi’ (コルデロイ)/東雲

元祖アガボイデスといわれるタイプです。
コーデュロイ/コーデロイなどとも呼ばれます。和名は「東雲(シノノメ)」といい、明治時代には既に国内で流通していたといわれています。

エッジにラインがでないシンプルなタイプで、普段は淡い緑色をしています。

‘Ebony’ (エボニー)

「黒檀」といわれるだけに、黒いラインができるタイプ。
より黒く強烈はラインはマニアに人気です。

‘Multifida’(ムルチフィダ)/’Red Edge’/魅惑の宵

I.C.N.によると、Red Edge(レッドエッジ)の改名として扱われています。
和名は「魅惑の宵」といい、「リップスティック(’Lipstick’)」としても流通しています。
1960年代に輸入されたといわれています。

エッジの赤いラインが特徴です。

‘Romeo’(ロメオ)

ドイツ Köhres のナーセリーで実生からでたアガボイデスの突然変異といわれています。

‘Taurus’(タウルス)という名前でも流通したことがありますが、ロメオのことを意味します。

以前は ‘Red Ebony’(レッドエボニー)として流通していました。

‘Romeo Rubin’ (ロメオルビン)

ロメオの中でも、赤の発色が強いタイプの選抜種です。
一年を通して赤い色をしています。

販売情報

相府蓮は古くから広く流通しており、まれにホームセンターや園芸店で扱っていることがあります。
ネットショップやオークションなどで入手しやすいです。

魅力/特徴

相府蓮の魅力は、透明感のある葉が真っ赤に色づく姿です。

アガボイデスの交配種には赤く色づくタイプが多いですが、相府蓮は元祖ともいえる存在です。

紅葉前
紅葉時

アガボイデスの他の仲間と比べると、葉が細めで数が多く、エッジが染まらないものの、色づきが良いのが特徴です。
この特徴の違いから、交配種の可能性も指摘されています。

増殖しやすいというの名前の由来がありますが、他のアガボイデス系と比べると子株が出やすいという程度です。
類似した名前を持つプロリフィカ(Echeveria prolifica)の繁殖力と比べると雲泥の差です。

また、相府蓮と同時期に国内に輸入された相生傘がプロリフェラではないか?という説もあります。

相生傘(アイオイガサ)

相府蓮より葉がしっかりしており、色づきは落ち着いています。

相府蓮の花

他のアガボイデスと同じく、淡い朱色を基調として、先端がやや黄色に染まります。

育て方のコツ(アガボイデス共通)

アガボイデスは、比較的丈夫で育てやすいですが、夏場には注意が必要です。

アガボイデスの葉は、粉がついておらず素肌丸出しのような状態です。
日照不足が続いた後に直射日光を浴びると葉焼けのリスクがありますので、徐々に慣らすようにしてあげてください。

また、ハダニが寄り付きやすく、夏場に被害が拡大する可能性があります。
葉に黒いすすのようなものが出てきたら要注意です。ダニ太郎等の薬品で駆除してあげてください。


日ごろから全身に水を浴びせてあげるとダニが寄り付きづらくなります。
ただし、葉のすき間に水が残るとそこから細菌が発生しかねないので、水はしっかり吹き飛ばしてください。

仔吹きはあまり良い方ではないです。
葉挿しはできますが、葉がしっかり茎についているため、葉を取ろうすると途中で切れてしまうことが多いので、慎重な対応が必要です。

交配種

相府蓮/相生傘(プロリフェラ)は古くから流通していたこともあり、多くの交配種が作出されています。

代表的な交配種を紹介します。

根岸交配

思い出露(オモイデヅユ)

相府蓮 × デローサ

相府蓮の顔が強く出ており、色づきもよくなります。

真紅の蓮(シンクノハス)

相府蓮 × 錦晃星

錦晃星の産毛は見られず、相府蓮が強く出ています。

相府の薔薇(ソウフノバラ)

相府蓮 × 花うらら

爪のとがり方や葉の細さ、名前から、交配式を知らないと、ザラゴーサ sp. ノバが親と勘違いしてしまう交配種です。

花の想府蓮(ハナノソウフレン)

花うらら × 相府蓮

相府の薔薇と雌雄逆の交配です。
葉は太く短めです。

  • 花蓮の光(カレンノヒカリ): 花うらら × 相府蓮
  • 相府蓮の花(ソウフレンノハナ): 相府蓮 × 花うらら
  • ソウフノリンゼ: 相府蓮×リンゼアナ
  • 緋木馬の光(ヒキマノヒカリ): 相府蓮 × 七福神
  • 養老の蓮(ヨウロウノハス): 養老 × 相府蓮
  • 蓮花(レンカ): 相府蓮 × 花うらら
  • 相生花(アイオイバナ): 相生傘 × 花うらら
  • 花の相生傘(ハナノアイオイガサ) : 花うらら × 相生傘

その他の交配種

大和蓮(ダイワレン)

大和錦 × 相府蓮

横森 道二氏による作出です。
アガボイデス感が強く、大和の特徴があまり感じられません。黄色い花が咲きますが、両親とも黄色い花ではないため、どちらかの親がプリドニス交配かもしれません。
作出者による命名はダイワレンですが、ヤマトレンとしても流通しています。

テキーラサンライズ(’Tequila Sunrise’)

相生傘 × リンゼアナ

交配ブームの始まりを予感させた日本発のエケベリアです。
リンゼアナの顔はあまり見られないタイプで、紅葉期には赤く染まって凛々しい姿になります。

ビクターレイター(’Victor Reiter’)

プロリフェラ × クスピダータ(Parrasensis)

フランクレイネルト氏作出の交配種。
プロリフェラの葉の質感に、クスピダータの葉の形状と爪の鋭さが引き継がれています。

フランクレイネルト(’Frank Reinelt’)

ロリフェラ × コロラータ

フランクレイネルト氏作出の人気種。
重厚感のあるロゼットがオレンジに色づくと見ごたえがあります。

マリア(’Maria’)

フランクレイネルト氏による、アガボイデス × プロリフェラ の交配からの選抜種とされています。

「原種マリア」として流通していることもありますが、原種ではありません。
また、アガボイデス系とは全く異なる優しい色合いのマリアも流通しています。

恋情(レンジョウ)

相府蓮 × 銀明色

横森 道二氏の作出。
アガボイデスの質感を残しながら、葉が短くなっています。

以上、相府蓮/相生傘の紹介でした。

真っ赤に染まる美しい姿は、多肉棚の色どりをにぎやかにしてくれます。
交配種も魅力的なので、見かけたら育ててみてはいかがでしょうか?

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