今回は、ロゼットが美しい「花うらら/プリドニス」です。
古くから流通している定番種ですので、エケベリアになじみがない人でも何となく見たことがあるかもしれません。
そんな花うららがコスパ最強である魅力を紹介します。
基本情報
学 名 | Echeveria pulidonis(プリドニス) 和名:花うらら |
自生地 | メキシコのプエブラ州、ベラクルス州、イダルゴ州に分布 |
来 歴 | Miguel Pulido 氏がプエブラ州にて採集 1960年代にアメリカから日本に輸入されたといわれている |
語 源 | 採集者の Miguel Pulido 氏に由来 |
タイプ | プリドニス・グリーンフォームと呼ばれる、緑が強くて薄葉タイプがある 韓国では、メキシコポルデンシス、メキシコプリドニスという名前でも流通している |
タイプ別比較
プリドニス・グリーンフォーム
プリドニスの緑が強く葉が長細くなるタイプです。
やや色が抜けたタイプにホワイトフォームという名前がついて流通していることがあります。
基本種より流通量は少なく、高温多湿に弱いです。
メキシコポルデンシス
(Mexico Poldensis)
韓国で流通しているプリドニスグリーンフォームと見受けられます。メキシコプリドニスも同様だと思われます。
販売情報
花うららは非常に普及しており、ホームセンターや園芸店、100円ショップなどで入手可能です。
魅力/特徴
花うららの魅力は、コスパ最強ともいえるほど優れモノである点でしょうか。
● ロゼットが美しくて見栄えがよい
● 身近なところで安価で入手できる
● 丈夫で育てやすい
● 仔吹きもよく葉挿しで増やしやすい
ということで、初心者さんでも気軽にトライできるエケベリアです。
さらに、魅力はこれだけにとどまりません。
葉が増えていくにつれてロゼットの美しさが増していきますし、よく締まって赤く色づいてくると寄せ植え映えもします。
「花うらら」という和名も魅力的です。
美しいロゼットを見ていると、きっとうららかな気分になるでしょう。
花うららの花
春にかわいらしいレモン色の花を咲かせます。
花うららの交配種はレモン色の花を咲かせることが多いので、親がわからないときに見分けやすいです。
ということで、ザ・エケベリアともいえるほどメジャーな存在でもあります。
育て方のコツ
花うららはとても丈夫で育てやすいので、他のエケベリアと比べて特に気をつけることはありません。
夏場は、エケベリアがだらしない姿になりがちですが、花うららは比較的きれいな形を維持してくれます。
ただし、プリドニスグリーンフォームやホワイトフォームは暑さに弱い傾向があるので、夏場は涼しい場所で管理してあげましょう。
安価で入手できるため、入手先の管理の仕方次第ではカイガラムシなどがついているかもしれません。
見つけたらオルトランなどの薬品で駆除してください。
トップ画像のように大きく育てたい場合は、緩効性の肥料があったほうが良いです。
逆に、肥料を切って水を控えめに管理すると、美しい紅葉を見せてくれることがあります。
交配種
花うららは、古くから普及しているだけあって多くの交配種が作られています。
根岸交配
根岸交配の中でも最も多くを占めるのが花うららの交配種。
その多くは既に流通していませんが、流通している主なものを紹介します。
相府の薔薇(ソウフノバラ)
相府蓮 × 花うらら
花の想婦蓮(ハナノソウフレン)
花うらら × 相府蓮
花の鶴(ハナノツル)
花うらら × パリダ
花野薔薇(ハナノバラ)
花うらら × サラゴーサ バル
花魅惑(ハナミワク)
花うらら × 魅惑の宵
花和神(ハナワジン)
花うらら × 大和神
パリダプリンス
花うらら × パリダ
プリドサヤナ
花うらら × リンゼアナ
ブリドサナヤ として流通している場合もあります。
- 相生花(アイオイバナ): 相生傘 × 花うらら
- 王妃晃の花(オウヒコウノハナ): 王妃錦司晃 × 花うらら
- 風花(カザハナ): 花うらら × ヘルフブロード
- 花霜の光(カソウノヒカリ): 花うらら × パリダ
- 花蓮の光(カレンノヒカリ): 花うらら × 相府蓮
- 瀬戸の花嫁(セトノハナヨメ): セドイデス × 花うらら
- 相府蓮の花(ソウフレンノハナ): 相府蓮 × 花うらら
- 月影の花(ツキカゲノハナ): 月影 × 花うらら
- 花一文(ハナイチモン): 花うらら × デローサ
- 花王妃晃(ハナオウヒコウ): 花うらら × 王妃錦司晃
- 花影(ハナカゲ): 花うらら × 養老(美)
- 花晃星(ハナコウセイ) : 花うらら × 錦晃星
- 花時雨(ハナシグレ) : 花うらら × 養老(紅)
- 花静夜(ハナセイヤ): 花うらら × 静夜
- 花の相生傘(ハナノアイオイガサ): 花うらら × 相生傘
- 花姫牡丹: 花うらら × 姫牡丹(ハルビンケリー)
- 花日和(ハナビヨリ) : 花うらら × ヒアリアナ
- 花武源(ハナブゲン) : 花うらら × ブペスケンス原種
- パリダプリンセス: 花うらら ×パリダ
- パリドニス: パリダ × 花うらら
- ハルビンドニス: 姫牡丹(ハルビンケリー) × 花うらら
- プリドゴーサ : 花うらら × サラゴーサ
- プリドメジオ : 花うらら × センセメジオ
- 細葉銀武源(ホソバギンブゲン): 花うらら × ブペスケンス原種
- 大和の花(ヤマトノハナ): 大和錦 × 花うらら
- 蓮花(レンカ): 相府蓮 × 花うらら
- 崙花(ロンカ): ロンドン × 花うらら
- 和神花: 大和神 × 花うらら
その他の交配種
根岸交配以外にも、多くの交配種が作られています。
アイリーン(’Ileen’)
I.C.N.によると、「リンゼアナ × プリドニス」の交配種で、1987年に海外で受賞したほどの交配種とのこと。
国内では「春うらら」「大型プレリンゼ」といわれるものと同じとのことです。
近年、韓国苗のアイリーン(Eileen)という静夜とミニマの交配のようなタイプが流通しています。名称で混同しないよう注意が必要です。
アルフレッド(’Alfred’)
プリドニス × アルビカンス
韓国では、ムーンフェアリー(’Moon Fairy’)とも言います。
花月夜(ハナヅキヨ)
花うらら × 月影
横森 道二 氏が作出した日本を代表する交配種の1つです。
クリスタルと同じ交配式であり、同じものとみられています。
花うららに近い黄色い花を咲かせます。
クリスタル (’Crystal’)
花うらら × 月影
花月夜と同じ交配式で、同じものとみられています。
イリア(’Iria’)というエケベリアがクリスタルといわれるようになりましたが、I.C.N. によると、イリアはサンチェスメヨラダエ か Albidaというエレガンス系交配種のことであるため、イリアという名前は不要であるとされてます。
ブルー&イエロー(’Blue & Yellow’)
チワワエンシス ルビーブラッシュ × プリドニス
英国の J. Pilbeam 氏による作出です。
プレリンゼ
プリドニス × リンゼアナ
プリリンゼアナとして流通しているタイプは、近隣国から輸入された交配種です。アガボイデスやプリドニス、桃太郎似といったさまざまなタイプがあるため、プレリンゼと同じものかどうかは不明です。
アイリーン(’Ileen’)と同じものという説もあります。
ムーンガドニス(’Moon Goddess’)
プリドニス × 静夜
「織姫」、「魅惑の月」として流通しているものに同じタイプがあるということで、「エスター(’Esther’)」に統合される方向のようです。
カリフォルニアクイーンと同じもののように見えます。
女雛(めびな)
静夜 × 花うらら
アイスエイジ(’Ice Age’)
交配式は公開されていませんが、花の特徴から花うららの交配種と思われます。
白雪姫
交配式は公開されていませんが、葉の質感や花の特徴から花うららの交配種と思われます。
白雪の華
白雪姫の細葉タイプについた名前で、姉妹株といわれています。白雪姫と同じく花うららの交配種と思われます。
プリドニス × ラウイ
交配表記のみですが、長く流通しています。
- バルカラ(’Barkala’): プリドニス × ザラゴーサ
- ブルーフェアリー(’Blue Fairy’): プリドニス × チワワエンシス?
- フラメンコ(’Flamenco’):プリドニス x ロンギシマ ブラキアンサ
- ローレンス(’Lawrence’): パリダ × プリドニス
- メモリー(’Momory’): アガボイデス × プリドニス
- シークレットガーデン(Secret Garden): プリドニス × リラシナ
- ‘Punam‘: 大和錦 × プリドニス
- ‘Reia Tanaka’:プリドニス × セクンダ
- ‘Schichi-Kuksi’:プリドニス × エレガンス?
- ‘Siren’: プリドニスとエレガンス系?
フォトギャラリー
以上、花うららの紹介でした。
安価で丈夫なうえに、育て方しだいではとても美しくなってくれる。
そんなコストパフォーマンスのよい花うららをぜひ育ててみてくださいね!