魅惑のアガボイデス!魅惑の宵(ムルチフィダ)の魅力と育て方【多肉植物・エケベリア原種】

今回は、オレンジに染まる紅葉が魅力の「魅惑の宵」です。

魅惑の宵は、アガボイデス という原種の仲間です。
アガボイデスは非常に多くのタイプがあるため、まとめて紹介するとかえって魅力が伝わりにくくなります。
よって、仲間の1つである魅惑の宵を切り出して紹介します。

目次

基本情報

学 名Echeveria agaboides ‘Multifida’(ムルチフィダ)
和名:魅惑の宵
自生地アガボイデスの栽培品種であるため、自生はしていない
語 源枝分かれしたような花序を持つことに由来
来 歴過去に Red Edge と呼ばれていたが、Multifida に改名
1972年にagavoides var. Multifidaとしてアガボイデスの変種とされたが、
自生している姿が確認されたことがないため、1998年に栽培品種に変更

日本には、1960年代に相府蓮、相生傘とともに輸入されたといわれている

タイプ
アガボイデスにはMultifidaの他に以下の栽培品種がある
● agavoides ‘Corderoyi’
● agavoides ‘Ebony’
● agavoides ‘Prolifera’
● agavoides ‘Romeo’
● agavoides ‘Romeo Rubin’


「リップスティック」という流通名がある
流 通古くから広く流通しており、ホームセンターや園芸店で入手できることがある
ネットショップやオークションなどで入手しやすい

タイプ別比較

‘Corderoyi’ (コルデロイ)/東雲

元祖アガボイデスといわれるタイプです。
コーデュロイ/コーデロイなどとも呼ばれます。和名は「東雲(シノノメ)」といい、明治時代には既に国内で流通していたといわれています。

エッジにラインがでないシンプルなタイプで、普段は淡い緑色をしています。

‘Ebony’ (エボニー)

「黒檀」といわれるだけに、黒いラインができるタイプ。
より黒く強烈なラインはマニアに人気です。

‘Multifida’(ムルチフィダ)/’Red Edge’/
魅惑の宵

I.C.N.によると、Red Edge(レッドエッジ)の改名として扱われています。
和名は「魅惑の宵」といい、「リップスティック(’Lipstick’)」としても流通しています。
1960年代に輸入されたといわれています。

エッジの赤いラインが特徴です。

‘Prolifera’ (プロリフェラ)/相府蓮

和名を「相府蓮(ソウフレン)」といい、1960年代に魅惑の宵とともに輸入されたといわれています。

他のアガボイデスの仲間と比べると、葉が細めで数が多く、エッジが染まらないものの色づきが良いのが特徴です。
この特徴の違いから、交配種の可能性も指摘されています。

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相生傘(アイオイガサ)

魅惑の宵、相府蓮ともに1960年代に輸入されたといわれています。一説によると、相生傘は相府蓮の顔違いであり、プロリフェラの可能性もあるとのことなので、合わせて紹介します。

‘Romeo’(ロメオ)

ドイツ Köhres のナーセリーで実生からでたアガボイデスの突然変異といわれています。

‘Taurus’(タウルス)という名前でも流通したことがありますが、ロメオのことを意味します。

以前は ‘Red Ebony’(レッドエボニー)として流通していました。

‘Romeo Rubin’ (ロメオルビン)

ロメオの中でも、赤の発色が強いタイプの選抜種です。
一年を通して赤い色をしています。

販売情報

魅力/特徴

魅惑の宵の魅力は、紅葉期にオレンジ色に染まる凛々しい姿

赤に染まるエケベリアは多いですが、ここまでくっきりとしたオレンジ色になるタイプは限定的です。

紅葉前
紅葉時

エボニーほど黒くて強いラインは出ませんが、赤く染まるラインも美しいです。
リップスティックといわれていたのも納得です。

育て方のコツ(アガボイデス共通)

アガボイデスは、比較的丈夫で育てやすいですが、夏場には注意が必要です。

アガボイデスの葉は、粉がついておらず素肌丸出しのような状態です。
日照不足が続いた後に直射日光を浴びると葉焼けのリスクがありますので、徐々に慣らすようにしてあげてください。

また、ハダニが寄り付きやすく、夏場に被害が拡大する可能性があります。
葉に黒いすすのようなものが出てきたら要注意です。ダニ太郎等の薬品で駆除してあげてください。


日ごろから全身に水を浴びせてあげるとダニが寄り付きづらくなります。
ただし、葉のすき間に水が残るとそこから細菌が発生しかねないので、水はしっかり吹き飛ばしてください。

仔吹きはあまり良い方ではないです。
葉挿しはできますが、葉がしっかり茎についているため、葉を取ろうすると途中で切れてしまうことが多いので、慎重な対応が必要です。

交配種

エケベリアの中には、魅惑の宵の他に、いくつか「魅惑」という名がつくエケベリアがあります。

花魅惑(はなみわく)

花うらら × 魅惑の宵 根岸交配 です。
花うららが入ると、エレガンス系との交配とは異なり濃いめですらっとした葉になるのが特徴です。

魅惑の宵の根岸交配は、他に3種類あります(流通なし)。
月迫の宵(ケッセルリンギアナ × 魅惑の宵)
魅惑の月迫(魅惑の宵 × ケッセルリンギアナ
倫魅惑(リンゼアナ × 魅惑の宵)

魅惑の誉(みわくのほまれ)

エッジにラインが出ないタイプです。
恐らくエレガンス系との交配種と思われます。

魅惑の月(みわくのつき)

2008年に入手したものなのでかなり古いです。
名前と容姿から想像するに、魅惑の宵と月影の交配種だと思われます。もしくは、根岸交配の「魅惑の月迫」の「迫」落ちかもしれません。
アガボイデスと同じタイプの花が咲きます。

魅惑の月は、2010年代に入って、花うららと静夜の交配種として別のタイプが流通するようになりましたが、別名が多く存在するために「Esther」に統一される方向です。

参考情報

魅惑の月(みわくのつき)

参考までに、花うららと静夜の交配種として流通しているタイプを載せます。
黄色い花が咲きます。

  • 魅惑の薔薇: 魅惑の宵の交配かどうかは不明ですが、名前が関連する交配種として紹介します。

以上、魅惑の宵の紹介でした。

アガボイデスにはいろいろなタイプがありますが、ひときわ鮮やかなオレンジに染まる魅惑の宵を育ててみませんか?

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