その名に恥じぬ美しさ!エレガンス の魅力と育て方【多肉植物・エケベリア原種】

今回は、エケベリアの中でも非常に人気の高い「エレガンス」の紹介です。
その名の通り、エレガントで美しい見た目に惹かれてエケベリアの沼にハマっていく人も多いはずです。
そんなエレガンスの底なしの魅力を紹介します。

目次

基本情報

学 名Echeveria elgans(和名:月影)
自生地メキシコのイダルゴ州、サン・ルイス・ポトシ州、グアナフアト州、ケレタロ州、
プエブラ州、ハリスコ州などに分布
語 源まさに「優雅な姿」に由来
来 歴1901年にメキシコの山中にて採集
国内では、1930年頃には既に月影の名前で流通
タイプさまざまな変種や栽培品種がある
・elegans var. kesselringiana (ケッセルリンギアナ)
・elegans ‘Alba’ (アルバ)
・elegans ‘Albicans’ (アルビカンス)
・elegans ‘Potosina’(ポトシナ)


近縁の原種に E. simulans(シムランス)E. hyarina(ヒアリナ)がある

タイプ別比較

elegans var. kesselringiana
(ケッセルリンギアナ)

エレガンスの変種ですが、過去に無効となったことがあり、2017年に再び変種として認定されました。

アルビカンスとして扱われていたこともありますが、葉先の細い爪がないため、別物とされています。

‘Alba’ (アルバ)

elegans ‘Alba’とするのが正確かは不明ですが、エレガンスの仲間とみられています。「アルバ」は国内で流通している名前で、他にホワイトローズ としても流通しています。

ホワイトローズという名前は、わかりやすい名前だけに多用されてしまっているようです。他にパウダーブルーや静夜、アガボイデス似の交配種も同じ名前で紹介されることがあります。

‘Albicans’ (アルビカンス)

メキシコからサンフランシスコに渡って育てられたエレガンスの栽培品種です。1958年の海外の文献で最初の記述があります。
ケッセルリンギアナがアルビカンスとして扱われていたこともありますが、葉先の細い爪がないため、別物とされています。

‘Potosina’(ポトシナ)

1935年に海外の文献で最初の記述がされています。
名前は、サンルイスポトシ市に贈られたことに由来します。
和名を「星影」といいます。

当時は E. potosina として独立した原種に認定されていましたが、現在はエレガンスに集約されて無効となっています。
一見するとエレガンスに似ていますが、紫に紅葉するのが特徴です。

近縁の原種も載せておきます

E. hyarina(ヒアリナ

ヒアリナは、2003年からしばらくの間エレガンスの仲間とされていましたが、2017年に原種として認定されました。

E. simulans(シムランス

1903年に採取されて以降、しばらくEcheveria var. elegansとしてエレガンスの変種とされていましたが、現在は独立した原種として扱われています。

ヒアリナとシムランスについては、それぞれ以下で紹介しています。

販売情報

月影は古くから流通しており、ホームセンターや園芸店などでも扱っていることがあります。

魅力/特徴

エレガンスの魅力は、まさに名前そのものである上品さ
優しい色合いの葉が折り重なってできる美しいロゼットを見ていると、優雅な気分になります。

別タイプもそれぞれ魅力的で、並べて飾ってみるとさらに上品な癒しを与えてくれるはずです。

また、冬場になると美しい紅葉を見せてくれるので、より一層エレガントな気分にさせてくれます。

月影はピンクの色合いになりますが、アルバ、アルビカンスは淡い黄色の紅葉を見せてくれます。
星影は紫がかった色合いになるので、タイプによる違いも楽しめます。

花も美しく、濃いめのピンク色を基調にして先端に向けて黄色くなるため、グラデーションを楽しめます。


月影は広く流通しており、入手しやすいのも魅力です。
ただし、ホームセンターや園芸店などでは、日照不足により葉がべたっと開いた状態が多く、エレガントに見えないかもしれません。
お迎えしたら綺麗に仕立て直してあげてください。

育て方のコツ

エレガントな見ためだけに気難しいようにみえますが、比較的育てやすいです。
日照不足になると葉が開いてきます。
コンパクトなロゼットに仕上げるためには、たっぷり日光を与えて水やりを控えめにするとよいでしょう。

アルバやケッセルリンギアナのような肉厚のタイプは、なかなか紅葉しない傾向にあります。
肥料を少なめに育てていれば、数年後には見事な色合いになってくれると思います。

交配種

エレガンスはとても人気があるだけに、古くから交配が行われています。
交配式が判明しているものからエレガンス系と思しきものまで含めると、普及種だけでもかなりの数があります。

根岸交配

アモエナアルバ

アモエナ × アルバ

葉の質感や色づきはアモエナで、ロゼットのバランスの良さがアルバの特徴を受け継いでいます。

アルバセブン

アルバ × 七福神

アルバ、七福神ともに人気の親株同士の交配種です。
七福神が加わったことによりやや葉が薄めになっているように見えます。

アルバの美尼(アルバノビニ/アルバノミニ)

アルバ × ミニマ

アルバの葉の質感を残しつつ、ミニマのコロっとした見た目が加わって絶妙なルックスになっています。

根岸氏のリストによると、大型、中型をアルバノビニ、小型をアルバノミニと分けていますが、市場ではサイズに関係なく「アルバミニ」として流通していることが多いです。

月静ゲッセイ/ツキシズカ)

月影 × 静夜

エレガンスよりの薄い葉になっています。
やや綴化しやすいようです。

ケッセルソルム

ケッセルリンギアナ × 細葉大和錦

大和錦の渋みを打ち消すくらいのケッセルリンギアナの強い遺伝子を感じる交配種です。

月迫の薔薇(ケッセルノバラ)

ケッセルリンギアナ × SP No.15

細く丸みのある葉がピンクに色づきます。
片親のSP No.15 は詳細が不明ですが、ケッセルリンギアナの特徴を感じさせないほどの、細葉で色づきやすいタイプと思われます。

美尼月迫(ビニゲッセル)

ミニマ × ケッセルリンギアナ

雪影 (ユキカゲ)

星影 × センセメジオ

  • エレガルビン: 月影 × ドンドルビン
  • ケッセルメジオ: ケッセルリンギアナ × センセメジオ
  • 月迫の宵: ケッセルリンギアナ × 魅惑の宵
  • 小葉アルバ: SP No.100 × アルバ
  • 静月: 静夜 × 月影
  • 月影の花: 月影 × 花うらら
  • デレッセル: 静夜 × ケッセルリンギアナ
  • 星静: 星影 × 静夜
  • 星の光: 星影 × センセメジオ
  • 紫牡丹: 星影 × センセメジオ
  • 和神アルバ: 大和伸 × アルバ

その他の交配種

アークティックアイス

E1 Ⅳ × ‘Lila’s Surprise’.

カリフォルニアにあるナーセリー Altman Plants の Renee O’Connell 氏により作出されたエレガンス系交配種です。2012年に交配され、翌年に選抜されました。
2018年にUSで特許登録USPP29584P2がなされています。

アルフレッド(’Alfred’)

花うらら × アルビカンス

韓国では、ムーンフェアリー(’Moon Fairy’)とも言います。

ウォーターリリー(’Water Lily’)

交配式は公開されていませんが、全体的な容姿と黄色い花が咲くところから、エレガンス系とプリドニス系の交配種と思われます。

韓国から入ってきた交配種ですが、スイレン、スリョンといった韓国苗と同じともいわれています。

オンスロー(’Onslow’)

韓国で作出されたエレガンス系の交配種です。

2010年代前半からオークションで見かけるようになりました。オンスローが正確な呼び方だと思いますが、当時オウンスローとして出品されており、現在でも同じ名前で流通しています。

ギルバ(’Gilva’)

アガボイデス × 月影

根岸交配にも使われている歴史ある交配種。
エレガンスの透明感がしっかり活かされています。

クリスタル (’Crystal’)

花うらら × 月影

花月夜と同じ交配式で、同じものとみられています。

イリア(’Iria’)というエケベリアがクリスタルといわれるようになりましたが、I.C.N. によると、イリアはサンチェスメヨラダエ か Albidaというエレガンス系交配種のことであるため、イリアという名前自体不要であるとされてます。

ペル(’J.C. Van Keppel’)

アガボイデス × アルビカンス

オランダのJ.C. Van Keppel 氏作出の交配種。
むっちりした見た目が人気です。
アイボリー(’Ivory’)としても流通しています。

シャイニングパール(’Shining Pearl’)

アガボイデス × エレガンス

ギルバと同じ交配式ですが、別物になります。
アガボイデスやエレガンスはそれぞれタイプが多いので、必ずしも同じ組み合わせではないかもしれません。

白蓮華

花月夜の変種といわれています。

すみれ牡丹

類似のエケベリアに、E.O. Orpet氏によって作出されたバイオレットクイーン があります。

バイオレットクイーン

月影の宵(ツキカゲノヨイ)

定番のエケベリアとして親しまれていますが、素性についてはっきりしないことが多いエケベリアです。

花月夜(ハナヅキヨ)

花うらら × 月影

横森 道二 氏が作出した日本を代表する交配種の1つです。
クリスタルと同じ交配式であり、同じものとみられています。
花うららと同じ黄色い花を咲かせます。

パールフォンニュルンベルク
(’Perle Von Nurnberg’)

ギビフローラ メタリカ × 星影

ファルラックス(’Fallax’)

静夜 × 月影

1934年にフランスの Pierre Gossot 氏によって作出された交配種。根岸交配の静月と同じ交配式なので、ファルラックス静月 としても流通していますが、両者は別物になります。

ブラッドブリアナ(’Bradburyana’)

1930年代初旬にカリフォルニア州で栽培していた、 E. P. Bradbury 氏にちなんで命名されたエレガンス系交配種。

すみれ牡丹やバイオレットクイーン似の綺麗なバイオレットに色づきます。

ラズベリーアイス(’Raspberry Ice’)

ラズベリーをアイスに混ぜたような色合いに見えなくもなく、見ていると甘酸っぱさを感じます。
詳細は不明ですが、エレガンス、ないしギルバブルーサプライズの流通名ともいわれています。

ルイーズ(’Louise’)

どの交配種も優しく上品な雰囲気ですね。
それぞれ色づき方が違うので、エレガンスの寄せ植えもできそうです。

紹介したのはごく一部になります。
人気のエレガンス系なので、近年では非常にたくさんの交配種が誕生しています。

エケベリアのイメージ=上品、といわれる日が来るか楽しみですね。

以上、エレガンスの紹介でした。

少しでもエレガントな雰囲気が伝わったでしょうか?
種類が豊富なので、たくさん集めて上品な多肉棚にしてみるのも面白いかもしれません。
まずは入手しやすい月影あたりから育ててみてくださいね!

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