今回は、エケベリアの中でもとりわけ人気の高い「コロラータ/リンゼアナ」です。
リンゼアナはコロラータの一種になりますが、コロラータをしのぐ人気なので、タイトルでは併記しています。
エケベリアに興味を持った人なら、一度は育ててみたいと思ったことがあるのではないでしょうか?
いつの時代でも不動の人気を誇る魅力について紹介します。
基本情報
学 名 | Echeveria colorata (コロラータ) |
自生地 | メキシコ・ハリスコ州の火山地帯 |
来 歴 | Eric Walther氏が 1959年にカリフォルニア大学植物園で栽培されていた植物を採集 1972に海外の文献で初めて掲載 |
語 源 | Colored(色のついた)という意味がある |
タイプ | 以下の2つの品種と産地別のタイプがある。 ● colorata f. colorata(コロラータ) ● colorata f. brandtii(ブランティ):葉が長めの品種 ● colorata, Tapalpa :タパルパ地方産の色白タイプ その他、以下の栽培品種がある ● colorata ‘Lindsayana’(リンゼアナ) ● colorata ‘Mexican Giant’(メキシカンジャイアント) ● colorata ‘Atemajac’(アテマハック) ● colorata ‘Roof’(ルーフ) ● colorata ‘La Autentica’ |
タイプ別比較
コロラータには多数の品種、地方種、栽培品種があるため、個別に紹介します。
必ずしも正確ではないかもしれませんので、仲間だと思っていただければよいかと思います。
colorata f. colorata(コロラータ)
f. とはformの略で、原種と同一地域で育ち自然界の中で変異したタイプであり、「品種」を意味します。
コロラータの中でどのタイプが該当するか正確に把握できていませんが、リンゼアナの方が葉幅が広く葉の先端がとがっているという違いがあることから、葉の先端がとがっていないタイプを選んでみました。
colorata f. brandtii
(ブランティ/ブランドティ)
採集者の一人であるFriedrich K. Brandt(ブラント)氏にちなんで命名された、コロラータの葉が細めの品種です。
ブランドティという呼び方で浸透していますが、ブラント氏に由来するため、「d」を発音せず ブランティという発音が的確です。
colorata, Tapalpa(タパルパ)
メキシコ・タパルパ地方産の色白タイプです。
‘Lindsayana’(リンゼアナ)
コロラータの美形の選抜種といわれています。
Mexican Society’s journal 1992の表紙を飾り絶賛されたとのことで、本家を超える人気ぶりです。
リンゼアナは独立した原種として扱われていた時代もあったようです。
コロラータより葉幅が広く先端がとがっているという違いはあるものの、コロラータの変異であるとして1980年に無効となっています。
日本には1960年代に入ってきたといわれています。
臼田清花園の臼田氏が入手したリンゼアナを中里氏が譲り受けたという経緯があるといわれており、所有者の名前が付いたタイプは高値になっています。
‘Mexican Giant’
(メキシカンジャイアント)
全身を白い粉で覆われており、30cm以上の大型になる栽培品種です。
大型ゆえか遺伝子が強く、交配種は多くのケースでメキシカンジャイアント似になります。
‘Atemajac’(アテマハック)
メキシコ・アテマハック地方の栽培品種でしょうか。
葉の色合いは緑と赤が強く、先端が細くなるタイプです。
‘La Autentica’
詳細不明の Leo González 苗です。
- ‘Roof’(ルーフ):Leo González苗です。
コロラータの価格情報
人気種ですが、供給量は限定的のためホームセンターや園芸店などではほとんど扱っていないと思います。
販売イベント、オンラインショップ、オークションなどで入手可能ですが、人気種ゆえ需要が高く在庫切れないし高値になりがちです。
魅力/特徴
コロラータの魅力は、優しい色合い、厚みのある葉が重なるロゼットの美しさ、たくましさの中にやさしさを感じるバランスのよさ・・・など様々です。
昔から育てていても、とにかく飽きのこない美しさゆえ、エケベリアに興味を持ったなら一度は育ててほしい品種です。
他の仲間もとにかく魅力的なので、全部そろえたくなるところですね。
がくが短めで、ピンクと朱色の中間のような色の花を咲かせます。
育て方のコツ
比較的丈夫なので、他のエケベリアと扱いを変えなくてもよいと思います。
めったなことでは枯れないので、何年も多肉棚を支える重鎮のようになってくれるかもしれません。
とはいえ、猛暑と熱帯夜が長期間続くような夏には、突然調子を崩すことがあります。
長年育てていると、根が詰まって根腐れを起こしやすくなりますので、
鉢の中で窮屈そうにしているようなら植え替えをしてあげてくださいね。
タパルパやメキシカンジャイアントは、葉に粉をまとっているので、不用意に触らないよう注意が必要です。
一度粉がはげてしまうと、元に戻るのに長い月日を要するか、葉が生え変わるまで待つ必要があります。
雨ざらしにすると、しばらく残念な状態でおつきあいすることになります。
メキシカンジャイアントは、肥料を与えれば喜んで大きくなりますが、まさにジャイアント!となって置き場にこまらないように調整してあげてください。
交配種
人気種ゆえ、近年では様々なエケベリアとの交配が行われており、複数の愛好家さんのあいだで同じ交配式で紹介されることが珍しいことではなくなりました。
ここでは、従来の交配種が忘れ去られないよう、代表的な交配種を紹介します。
テキーラサンライズ(’Tequila Sunrise’)
相生傘 × リンゼアナ
交配ブームの始まりを予感させた日本発のエケベリアです。
リンゼアナの顔はあまり見られないタイプで、紅葉期には赤く染まって凛々しい姿になります。
ハイジ(’Heidi’)
メキシカンジャイアント × リンゼアナ
フランクレイネルト(’Frank Reinelt’)
アガボイデス プロリフェラ × コロラータ
フランクレイネルト氏作出の人気種。
重厚感のあるロゼットがオレンジに色づくと見ごたえがあります。
プリドサヤナ(’Pulidsayana’)
花うらら(プリドニス) × リンゼアナ
根岸交配です。
花うららの血が強く出ています。
「プ」が「ブ」になって流通しているケースが多いです。
プレリンゼ
プリドニス × リンゼアナ
プリリンゼアナとして流通しているタイプは、近隣国から輸入された交配種です。アガボイデスやプリドニス、桃太郎似といったさまざまなタイプがあるため、プレリンゼと同じものかどうかは不明です。
アイリーン(’Ileen’)と同じものという説もあります。
アイリーン(’Ileen’)
I.C.N.によると、「リンゼアナ × 花うらら」の交配種で、1987年に海外で受賞したほどの交配種とのこと。
国内では「春うらら」「大型プレリンゼ」といわれるものと同じとのことです。
近年、韓国苗のアイリーン(Eileen)という静夜とミニマの交配のようなタイプが流通しています。名称で混同しないよう注意が必要です。
ハイランドローズ(’Highland Rose’)
メキシカンジャイアント × プリドニス × リンゼアナ
メキシカンジャイアントの遺伝子が強く出ている交配種です。直径20cm超の大型になります。
- コーラス(’Chorus’): コロラータ × クリスマス 韓国苗
- クラリナ(’Clarina’): コロラータ × リラシナ
- クラウディア(’Claudia’): コロラータ × ラウイ
- エロラ(’Elora’): エレガンス × コロラータ
- ゴーストバスター(’Ghost Buster’): コロラータ × エレガンス
- ジョンノックス(’John Knox’): コロラータ × アガボイデス
- ラウラ(’Laura’): ラウイ × コロラータ
- マーガレットマーティン(’Margaret Martin’): アガボイデス × リンゼアナ
- パロマ(’Paloma’): リンゼアナ × リラシナ
- パソドブレ(’Paso Doble’):コロラータ × ロンギシマ ブラキアンサ 韓国苗
- パープルスター(Purple Star): ディフラクテンス × コロラータ ブランティ(ブランドティ)
どれも魅力的な品種なので、つい同じ交配をしようとしてしまうことがあります。
交配する前に、親株が原種なのか、交配種なのか、交配種であれば親は何か、あたりを調べたうえでトライしたいですね。
コロラータ/リンゼアナはとても魅力的な親株なので、理想の交配種が作れますように!
フォトギャラリー
美白タイプ
以上、コロラータ/リンゼアナの紹介でした。
入手がむずかしいかもしれませんが、それだけ魅力がある品種です。
飽きのこない美しさを存分に楽しんでくださいね!