今回は、マットな質感とシックな色合いの「銀明色(ギンメイショク)」です。
これといって目立った特徴がない見た目をしているため、人気はそれほど高くないかもしれません。
とはいえ、個性的な原種が多い中で、銀明色のクセのなさが逆に注目されて、交配では活躍しています。
そんな銀明色の魅力と育て方を紹介します。
基本情報
学 名 | Echeveria carnicolor (カルニカラー) 和名:銀明色 |
自生地 | メキシコのベラクルス州に分布 |
語 源 | ラテン語のcarnicolor (英:flesh-coloured)を指すが、花の色ではなく葉の色に由来 |
来 歴 | Baker 氏による1870年の最初の記述では産地不明であったが、 1906年に Purpus 氏がメキシコのベラクルス州にて発見 |
タイプ | David Jimeno 氏によると、近年自生しているものはグレーがかった色ではないとのこと |
販売情報
古くから流通していますが、ホームセンターや園芸店などではあまり見かけないかもしれません。
ネットショップでは安価で購入することができます。
魅力/特徴
銀明色の魅力は、派手さはなくても素朴な美しさを感じられるところでしょうか。
名前のわりに銀色というわけでもなく、グレーのような色合いです。
光の当て方や時期によっては、銀色に輝いているように見えることもあります。
茎立ちするタイプではなく、地面に張り付いたような育ち方をします。
そのためか、仔吹きがよくありません。
花は、綺麗なサーモンオレンジをしています。
育て方のコツ
銀明色は、比較的暑さにも寒さにも強いタイプで、他のエケベリアの管理と同様で育てられると思います。
交配種
銀明色は、古くから流通しており、多くの交配に使われています。
特に、愛好家の横森 道二 氏が作出した交配種には銀明色が多用されています。
横森交配
銀紅蓮(ギンコウレン)
銀明色 × 相府蓮
画像は両親の特徴と一致しておらず、恐らくグラプトべリアと思われますが、銀紅蓮の名前で広く流通しています。
銀明天女(ギンメイテンニョ)
銀明色 × 天女の花笠
姉妹株に「銀明殿」と「銀明の花笠」があります。
銀明の花笠(ギンメイノハナガサ)
銀明色 × 天女の花笠
姉妹株に「銀明殿」と「銀明天女」があります。
花筏(ハナイカダ)
天女の花笠 × 銀明色
紅の鶴(ベニノツル)
銀明色 × 霜の鶴
パリダは薄葉で丸い大きな緑色の葉をしていますが、銀明色との交配によって、葉の形がややシャープになっています。
姉妹株に「麗春」があります。
紅の賦(ベニノフ)
旭日の賦 × 銀明色
麗春(レイシュン)
銀明色 × 霜の鶴
「紅の鶴」の姉妹株です。
恋情(レンジョウ)
相府蓮 × 銀明色
アガボイデスの質感を残しながら、葉が短くなっています。
根岸交配
銀武源(ギンブゲン)
銀明色 × プベスケンス
プベスケンスの詳細が不明ですが、黄緑の色合いとオレンジ色の大きめの花を咲かせることから、静夜のようなエケベリアだと思われます。
澄江(スミエ)
銀明色 × ルンヨニー マカベアナ
根岸氏の奥様の名前が由来だそうです。
銀明色の色合いと形をベースにして、ルンヨニーが加わったことで淡い色合いになっています。
- 赤葉銀明(アカバギンメイ): 銀明色 × 白兎耳
- 妙義蓮(ミョウギレン): 銀明色 × 府蓮相
- 緑兎耳(リョクトジ): 銀明色 × 錦晃星
その他の交配種
ファンクイーン/ヴァンブリーン
(’Van Breen’)
静夜 × 銀明色
プルビカルン(’Pulvi-Carn’)
プルビナータ × 銀明色
- ブラウンシュガー(’Brown Sugar’):E. atropurpurea x 銀明色
- カルラ(’Carla’):銀明色 × ラウイ
- プルビカルン(’Pulvi-Carn’): プルビナータ × 銀明色
- ‘Rumpelstilz‘: ブラックプリンス x アトロプルプレア x 銀明色?
- サンタバーバラ(’Santa Barbara’): メタリカ × 銀明色
- セラーナ(’Serrana’): 銀明色 × アフィニス?
- 高砂の翁: クレヌラータ × 銀明色
以上、銀明色の紹介でした。
シンプルなだけに、クセの強そうなエケベリアとの交配で活躍している感があります。
純粋に原種として鑑賞するもよし、交配に使ってみるもよし、お好みに合わせて育ててみてはいかがでしょうか?