大家族をなす人気の原種、アガボイデスの魅力と育て方【多肉植物・エケベリア原種】

今回は、エケベリアの中でも一大勢力を誇る「アガボイデス」です。

東雲、想府蓮、エボニー、ロメオなど、多くの変種や地方種を輩出し、エケベリア界をリードしています。
交配種を含めると、その種類の多さからすべてを集めるのは至難の業。
それでも集めてみたくなる、アガボイデスの魅力を紹介します。

目次

基本情報

学 名Echeveria agavoides(アガボイデス)
自生地メキシコ のサンルイスポトシ州、イダルゴ州、グアナファト州、ドゥランゴ州、
ハリスコ州、アグアスカリエンテス州、ミチョアカン州に分布
語 源Agave(アガベ)に似ていることに由来
(ラテン語でoidesは「~に似た」「~のような」という意味がある)
来 歴1863年にフランス人のCharles Lemaire氏によって文献に掲載
明治時代には国内に輸入されていたといわれている
タイプ以下の栽培品種がある
agavoides ‘Corderoyi’
agavoides ‘Ebony’
agavoides ‘Multifida’(’Red Edge’)
agavoides ‘Prolifera’
agavoides ‘Romeo’
agavoides ‘Romeo Rubin’


以下の地方種などがある
Ahualulco、caespitosa Queretaro、Chinampas、Durango、Hidalgo、Chinampas. Jalisco、
Contepec. Michoacan、Contepec Michoacan、Fresnillo. ZAC、Fresnillo.Zacatecas、
Jesus Maria.SLP、La Union Gto、La Virgin. Guanajuato、Penjamon、Presa Madero. Hidalgo、
Presita Gto、Santa Barbara Gto、Santa Rosa. Guanajuato、Tuxpan、Villa Zaragoza

タイプ別比較

‘Corderoyi’ (コルデロイ)/東雲

元祖アガボイデスといわれるタイプです。
コーデュロイ/コーデロイなどとも呼ばれます。和名は「東雲(シノノメ)」といい、明治時代には国内で流通していたといわれています。

エッジにラインがでないシンプルなタイプで、普段は淡い黄緑色をしています。

(シャチ)

東雲の綴化です。

‘Ebony’ (エボニー)

「黒檀」といわれるだけに、黒いラインができるタイプ。
より黒く強烈はラインはマニアに人気です。

‘Multifida’(ムルチフィダ)/’Red Edge’/魅惑の宵

I.C.N.によると、Red Edge(レッドエッジ)の改名として扱われています。
和名は「魅惑の宵」といい、「リップスティック(’Lipstick’)」としても流通しています。
1960年代に輸入されたといわれています。

エッジの赤いラインが特徴です。

‘Prolifera’ (プロリフェラ)/相府蓮

和名を「相府蓮(ソウフレン)」といい、1960年代に魅惑の宵とともに輸入されたといわれています。

他のアガボイデスの仲間と比べると、葉が細めで数が多く、エッジが染まらないものの、色づきが良いのが特徴です。
この特徴の違いから、交配種の可能性も指摘されています。

相生傘(アイオイガサ)

魅惑の宵、相府蓮ともに1960年代に輸入されたといわれています。一説によると、相生傘は相府蓮の顔違いであり、プロリフェラの可能性もあるとのことなので、合わせて紹介します。

‘Romeo’(ロメオ)

ドイツ Köhres のナーセリーで実生からでたアガボイデスの突然変異といわれています。

‘Taurus’(タウルス)という名前でも流通したことがありますが、ロメオのことを意味します。

‘Red Ebony’(レッドエボニー)としても流通しています。

‘Romeo Rubin’ (ロメオルビン)

ロメオの中でも、赤の発色が強いタイプの選抜種です。
一年を通して赤い色をしています。

agavoides, Ahualulco (アウアルルコ)

メキシコのサンルイスポトシ州、アウアルルコの地方種です。

ちなみに、アガボイデスの名前の由来となっているアガベについても簡単に紹介します。

出典:Flickr(Photo by Alan Levine

Agave(アガベ)

リュウゼツラン科のアガベ属の総称です。
メキシコを中心に米国南西部と中南米の熱帯域に自生しており、観賞用として世界中に流通しているほか、テキーラの原料として使われることもあります。

アガボイデスの爪は柔らかいですが、アガベは鋭くかたい棘を持つタイプが多いので、刺さらないように注意が必要です。

価格情報

タイプによって、古くから広く流通しているものあれば、流通量が限定されているものもあります。
ホームセンターや園芸店などではあまり扱っていませんが、ネットショップやオークションなどで入手可能です。

魅力/特徴

アガボイデスの魅力は、ツヤとハリのある葉が作る凛々しいロゼットとバラエティに富んだ仲間たち

普段はみずみずしい緑色をしていたかと思えば、冬には赤やオレンジに色づくといったように、四季の変化も楽しむことができます。

花は、濃いピンクを基調として、花先がやや黄色に染まるタイプです。

育て方のコツ

アガボイデスは、比較的丈夫で育てやすいですが、夏場には注意が必要です。

アガボイデスの葉は、粉がついておらず素肌丸出しのような状態です。
日照不足が続いた後に直射日光を浴びると葉焼けのリスクがありますので、徐々に慣らすようにしてあげてください。

また、ハダニが寄り付きやすく、夏場に被害が拡大する可能性があります。
葉に黒いすすのようなものが出てきたら要注意です。ダニ太郎等の薬品で駆除してあげてください。


日ごろから全身に水を浴びせてあげるとダニが寄り付きにくくなります。
ただし、葉のすき間に水が残るとそこから細菌が発生しかねないので、水はしっかり吹き飛ばしてください。

仔吹きはあまり良い方ではないです。
葉挿しはできますが、葉がしっかり茎についているため、葉を取ろうすると途中で切れてしまうことが多いので、慎重な対応が必要です。

交配種

アガボイデスは古くから流通していたこともあり、多くの交配種が作出されています。
交配式が不明なものが多く、花や容姿を見て判断されているものもあります。
交配ブームになって以降は、人気のエボニーやロメオルビンの交配種が多く作出されるようになりました。

代表的な交配種を紹介します。
数が多いので、魅惑の宵(ムルチフィダ)、相府蓮(プロリフェラ)、エボニーの交配種はそれぞれの記事で紹介しています

アイシクル(’Icycle’)

アガボイデス × レウコトリチャ(白兎耳)

アイクル として流通していましたが、アイシクルが正しい読み方だと思います。
淡い黄緑色の葉にうっすらと生える産毛が特徴です。

赤い唇

交配式は不明ですがアガボイデスの交配種とみられています。紅葉期になると、透明感のある葉が真っ赤に染まります。

赤い星(’Macabeana’)

比較的小さいロゼットで、名前の通り赤く染まった葉が星の輝きのように四方八方に開きます。

アガボイデスの変異といわれていたこともありますが、花が異なるので交配種とみられています。交配相手は不明です。

祝いの松/祝の松(’scaphophylla’)

アガボイデス × E. linguaefolia とされていますが、linguaefoliaが確認できないので異種間交配種かもしれません。黄色に染まる葉が魅力的な交配種です。
クララベル(’Clara Bell’)にも似ています。

クララベル(’Clara Bell’)

ヴァション(’Vashon’)

交配式は不明ですが、容姿や花からアガボイデス系の交配種とみられています。

ギルバ(’Gilva’)

アガボイデス × エレガンス

根岸交配にも使われている歴史ある交配種。
エレガンスの透明感がしっかり活かされています。

クリスマス(’Christmas’)

プリドニス × アガボイデス

交配式は公開されていませんが、見た目からの推測で広まっています。
クリスマスらしく赤く色づく交配種です。
クリスマスイブという姉妹株?もあります。

ペル(’J.C. Van Keppel’)

アガボイデス × アルビカンス

むっちりした見た目が人気の交配種。
アイボリーとしても流通しています。

ジェイドポイント(’Jade Point’)

交配式は不明ですが、アガボイデスの交配種といわれています。

シャイニングパール(’Shining Pearl’)

アガボイデス × エレガンス

ギルバと同じ交配式ですが、別物です。
アガボイデスやエレガンスはそれぞれタイプが多いので、必ずしも同じ組み合わせではないかもしれません。

シリウス(’Sirius’)

東雲に似たフォルムをした韓国苗です。

シリウス(’Sirius’)

シリウスの中でも、エッジがエボニーのように黒く染まるタイプです。

ソナタ(’Sonata’)

2011年頃に韓国から来た交配種。
詳細は不明ですが、アガボイデス系といわれています。

ティッピー(’Tippy’)

アガボイデス × 静夜

マリア(’Maria’)

フランクレイネルト氏による、アガボイデス × プロリフェラ の交配からの選抜種とされています。

紫式部

クスピダータ(Parrasensis)× アガボイデス ロメオ

クスピダータのスタイリッシュさと爪の鋭さにロメオの色合いが加わって、紅葉期にはパープルに色づく美しい交配種です。

モルゲイン(’Morgain’)

交配式は不明ですが、アガボイデス系の交配種といわれる韓国苗です。
紅葉期にはエッジが濃くなり紅蓮に染まります。

ルブラ(’Rubra’)

交配式は不明ですが、アガボイデス系の交配種といわれています。
鋭くとがった葉先と紅葉期には紅蓮に染まるのが特徴です。

レディスビンゴ(’Ladies Bingo’)

交配式は不明ですが、アガボイデス系の交配種といわれています。葉はやや短めで葉先が黒くづきます。

レディースフィンガー(’Ladies Finger’)

交配式は不明ですが、アガボイデス系の交配種といわれています。葉はやや短めです。レディスビンゴに似ています。

ワックス(’Wax’)

交配式は不明ですが、アガボイデス系の交配種といわれています。ヴァションやテキーラサンライズと似ています。

  • XXX: 

以上、アガボイデスの紹介でした。

個性的な仲間がたくさんありますので、集め買いがあると思います。
気づいたらアガボイデスコレクターになっているかもしれませんよ!

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