今回は、黒いエケベリアの代表である「アフィニス」です。
今まで育ててきた黒系のエケベリアたちが実はアフィニスかも!?という流通に関して謎が多いエケベリアです。
黒歴史の秘密はさておき、黒葉の魅力について紹介します。
基本情報
学 名 | Echeveria affinis(アフィニス) 和名:古紫(コムラサキ) |
自生地 | メキシコのドゥランゴ州やシナロア州に分布 |
語 源 | Affinisは、ラテン語でSimilar(似ている)という意味で、クライギアナ(E. craigiana) という原種に似ているという由来がある |
来 歴 | 最初の採集時期は不明だが、1958年の海外の文献では、Fritz Schwarz氏が採集し、数名を 経由してサンフランシスコで栽培された苗が紹介されている |
タイプ | ブラックナイト、ブラックプリンス、ブラックレディ、黒助といった黒いエケべリアが流通しており、 タイプによっては全て同じアフィニスの可能性がある アフィニス・グレイフォームというタイプがあるが、アフィニスではないと思われる |
タイプ別比較
アフィニスは、複数の仲間ないし仲間と思われるタイプが流通しています。
単純に古紫だけで整理されていないところがわかりづらいところです。
それぞれを紹介します。
古紫(コムラサキ)
平たい葉のタイプを入手しましたが、必ずしもこのタイプに限らず、以下で紹介するブラックナイトのような長細い葉のタイプも流通しています。
ブラックナイト(’Black Knight’)
→ 無効
書籍『Echeveria Cultivars』では、アフィニスの交配種として紹介されていますが、I.C.N.によると、このタイプは交配種ではなくアフィニスそのものであり、ブラックナイトという名前を使用してはならない旨が記載されています。
なお、オーストラリアでは、Brown Fingers という名前で類似のエケベリアが流通していることがあるようです。
ブラックプリンス(’Black Prince’)
→ 交配種
ブラックプリンスは、アフィニスとシャビアナとの交配種とされており、よりブラウン色が強く平たい葉をしています。
画像のタイプはブラックナイトと同じ長細い葉であり、シャビアナは感じられないため、アフィニスそのものである可能性があります。
ブラックレディ(’Black Lady’)
葉が短いタイプです。
アフィニスの交配種なのか変種なのかは不明です。
黒助(クロスケ)
ブラックレディと同様に葉が短いタイプです。
アフィニスの交配種なのか変種なのかは不明です。
その他にも ブラックキング、ブラックプリンセス、ブラックプライド といった黒系のエケベリアもあり、さらに混乱してきます。
少なくとも、以下はクリアになりました。
●ブラックナイトはアフィニス
●ブラックプリンスはアフィニスではなく交配種
ただし、ブラックナイトは鋭い葉先にナイト感があり定着している名前だけに、当面は生き続けると思います。
アフィニスの名前は、クライギアナに似ていることからきています。
確かに、アフィニス・グレイフォームとして流通しているエケべリアは、クライギアナのようにも見えます。
I.C.N. によると、アフィニスグレイフォームはクライギアナの交配種であるシルバークイーン(’Sliver Queen’)とのことです。
生産者が商品名としてグレイフォームとつけたとのことですが、確証はないようです。
アフィニス、クライギアナ共に赤い花が咲くので、余計に見分けにくいかもしれません。
販売情報
古紫は広く流通しており、ホームセンターや園芸店などで入手可能です。
魅力/特徴
アフィニスの魅力は、なんといっても 美しいブラック です。
渋めの色合いをした原種は多いですが、全身の黒さではアフィニスがトップクラスではないでしょうか。
エケベリアには多彩な色をした種類があるので、色とりどりに飾りたいときにブラックは重宝します。
純白のラウイやカンテなどと並べるとコントラストを楽しめますし、顔違いをコレクションしてブラックエリアを作ってみるのも面白いです。
育て方のコツ
日光をたっぷり浴びると黒さがより際立ってくると思います。
ただし、黒い色が熱を吸収しやすいせいか、暑さにはあまり強くありません。
春の成長期に適度に肥料を与えて力強い株にしてあげるとよいでしょう。
水やりの際は、ハダニが発生しないように、全体に水をかけてあげるとよいと思います。
交配種
アフィニスといえば黒系のため、黒系のエケベリアを作りたいときには大活躍してくれます。
夏場に花が咲くため、他の多くのエケベリアとは開花時期が異なります。
花粉をカプセルに入れて冷凍保存しておくと、色々な種類のエケベリアとの交配を楽しめます。
近年では、多くの黒系エケベリアが韓国から入ってきています。
アフィニス交配かどうかは不明ですが、その黒さには目を見張るものもあり、市場を賑わせています。
ここでは、古くから流通している交配種を中心に紹介します。
ブラックプリンス(’Black Prince’)
アフィニス × シャビアナ
シャビアナのフリルは引き継がれていませんが、アフィニスより薄葉で茶色になっています。
ブラックプリンスという名前で、アフィニスと見分けがつかないタイプが流通しています。
アルフレッドグラフ(’Alfred Graf’)
Frank Reinelt 氏による作出。
色合いと花からアフィニスの交配と思われますが、確証はありません。
フィリスコリス(’Phyllis Collis’)
アフィニス × カンテ
Créée par R. Collis 氏による作出。
フィリスコリスの実生に ‘Tingdene’ というタイプがありますが、国内では流通していないと思われます。
- アズリータ(’Azurita’): アフィニス × ギビフローラ ‘Carunculata’
- セラーナ(’Serrana’): 銀明色 × アフィニス
- ティンタ(’Tinta’): アフィニス × ギビフローラ ‘Carunculata’ あるいは ‘Paul Bunyan’
美しいブラックがよりきわ立った交配種や、ブラックを活かした様々な形のエケベリアの誕生が楽しみです。
以上、アフィニスの紹介でした。
名前に謎が多いケべリアですが、ブラックという色の魅力はこのエケベリアならではです。
コレクションして見比べてみたり、気に入ったタイプを育ててみてはいかがでしょうか?