今回は、エレガンス似の美人として人気の「ヒアリナ」です。
長年エレガンスの一種とみられていましたが、その後単独の原種として認定され、改めて注目を集めてきました。
「ラパス」として親しまれている人気種もヒアリナの仲間です。
エレガンスや近縁のシムランスにも勝るとも劣らない美しさをもつ、ヒアリナの魅力を紹介します。
基本情報
学 名 | Echeveria hyalina(ヒアリナ) |
自生地 | メキシコのアグアスカリエンテス州、グアナフアト州、イダルゴ州、ケレタロ州、 サンルイスポトシ州などに分布 |
語 源 | hyaline(ガラス状の、水晶のような、透明な)に由来するといわれる |
来 歴 | 1958年に海外の文献で初めて記載 2003年にエレガンスの一種とされるも、エレガンスよりシムランス似ということで、 2017年に独立した原種として認定された |
タイプ | 複数の産地別のタイプがある hyalina, Ahualulco hyalina, Gilo hyalina, Pinal de Amoles hyalina, Rancho Viejo hyalina, San Luis Potosí hyalina, San Luis de La Paz hyalina, Santa Maria Mexicano hyalina, Santo Domingo halbingeri var. sanchez-mejoradae(ハルビンゲリ・サンチェス・メヨラダエ)は、 現在ではヒアリナとして扱われている ヒアリアナとして流通していることもある |
タイプ別比較
いくつかの地方種などを紹介します。
hyalina, Gilo
以前は sp. Gilo とされていましたが、ヒアリナとして認定されました。
hyalina, San Luis de La Paz
(La Paz Guanajuato)
ラパス(La Paz)として人気のエケベリアです。
過去にエレガンスとして種が売られていましたが、現在はヒアリナに変更されています。
ちなみに、ラパスはメキシコ西海岸の商業都市です。
ヒアリナの原生地は、メキシコの中央高地に位置する グアナファト州の サン・ルイス・デ・ラ・パス(San Luis de La Paz)です。
hyalina, Santo Domingo
メキシコのサントドミンゴの地方種。
hyalina ‘sanchez-mejoradae‘
サンチェス・メヨラダエ(Sanchez-mejoradae)は読みづらい名前のため、いろいろなカタカナ表記をみかけます。
以前は、halbingeri var. sanchez-mejoradaeとして、ハルビンゲリの変種とされていましたが、現在ではヒアリナとして扱われています。
I.C.N. によると、イリア(’Iria’)として流通しているエケベリアも同じものとして指摘されています。
エレガンスよりもシムランスに似ている、とのことなので両者の画像も載せてみます。
どちらかというと、画像ではシムランス似のように見えます。
エレガンスにはタイプ違いもあるので、ピンとこない人もいるかもしれません。
気になる方は、それぞれのタイプを確認してみてくださいね。
販売情報
ヒアリナは、エレガンスより流通量が少なく、ホームセンターや園芸店で目にすることはほとんどありません。
販売イベント、ネットショップ、オークションなどで販売されるケースが多いです。
魅力/特徴
ヒアリナの魅力は、透明感のある小さな葉がギュッと詰まった美しいロゼットにあると思います。
大きく成長すると葉が幾重にも重なり、迫力すら感じられるようになります。
紅葉すると淡い紫色やピンクなどに染まり、さらに美しさが増します。
エレガンスやシムランスと同様に、ピンクとイエローのグラデーションが美しい小ぶりの花を咲かせます。
育て方のコツ
ヒアリナはあまり暑さに強くないかもしれません。
できるだけ成長期に環境に慣らしておいて、力強い株に仕上げてあげたいところです。
葉を重ねた大型の株にするためには、緩効性の肥料を与えてあげるとよいでしょう。
交配種
ヒアリナは、古くからヒアリアナとして交配に使われていました。
しかし、その多くが現在目にする機会が無くなっています。
一方、交配ブームになって様々なエケベリアとの交配が行われており、近隣国からも多くの新種が入っています。
これから先、どの交配種が普及種として親しまれるようになっていくのか楽しみです。
根岸交配
デレンアリナ
静夜 × ヒアリアナ
- センセメリアナ: センセメジオ × ヒアリアナ
- 野薔薇の宴(ノバラノウタゲ): サラゴーサノバ × ヒアリアナ
- 花日和(ハナビヨリ) : 花うらら × ヒアリアナ
- 大和の陽(ヤマトノヒ) : 大和錦 × ヒアリアナ
- 大和雛(ヤマトビナ) : 細葉大和錦 × ヒアリアナ
その他の交配種
- アメイジンググレイス(’Amazing Grace’): ヒアリナ × ラウイ
- コリナ/コリーナ(’Colina’): コロラータ × ヒアリナ
- シャルルローズ: ヒアリナ × ヴィンセントカット?
- ラウリナ(’Laurina’): ラウイ × ヒアリナ
以上、ヒアリナの紹介でした。
長い歴史を経て、単独の原種として認識されたヒアリナ。
その透明感のあるロゼットは、改めて注目されるに値する美しさをもっています。
どの地方種も魅力的なので、見かけたら育ててみてはいかがでしょうか?