今回は、かわいらしい名前の「チワワエンシス」です。
人気の交配種である「桃太郎」の生みの親であり、人気生産者さんのオリジナル交配種にも使われています。
時代の移り変わりとともに価格が乱高下する、注目の原種の魅力を紹介します。
基本情報
学 名 | Echeveria chihuahuaensis(チワワエンシス) |
自生地 | メキシコのソノラ州,チワワ州,ドゥランゴ州など |
来 歴 | メキシコ・チワワ州のリオコロラド渓谷の標高2300mにて発見され、1935年に初めて海外の文献に記述 |
語 源 | 自生地のチワワ州に由来する (ちなみに、ensisとはラテン語で「剣」を意味する) |
タイプ | 以下の地方種と栽培品種がある ・chihuahuaensis, Yecora ・chihuahuaensis ‘Ruby Blush’ |
タイプ別比較
チワワエンシスの地方種と栽培品種を紹介します。
chihuahuaensis, Yecora
(イェコラ/イエコラ)
メキシコのソノラ州・イェコラ(イエコラ)の地方種です。
朱色の細く締まった花が咲きます。
‘Ruby Blush’(ルビーブラッシュ)
チワワ州の Cusarare fall で収集されたチワワエンシスで、よりコンパクトで赤い色が強く出る選抜種です。
過去にドイツの種子販売会社(Koehres)で販売されていたルビーブラッシュは、本物ではないとのことで現在では販売されていません。
このチワワエンシス、桃太郎と見分けがつかないとよくいわれるため比較してみます。
2000年代前半頃までのチワワエンシスといえば、画像のように葉が平たくてほんのりピンクになるタイプでした。
この形であれば、明らかに桃太郎とは別物であることがわかります。
ちなみに、このチワワエンシスは、まれに生長点がつぶれていびつな形になるため、扱いづらい印象がありました。
その後、2000年代後半あたりから桃太郎が流通するようになると、海外からはチワワリンゼや別タイプのチワワエンシスが入ってくるようになりました。
季節によって色づき方が異なりますが、どれも同じように見えます。
イエコラ以外のチワワエンシスの花を桃太郎と比べてみます。
全く見分けがつきません。
相手のリンゼアナの花も同じような色合いと形なので、余計にわかりにくいですね。
近年の原種の文献などから比べてみると、昔ながらのチワワエンシスは、chihuahuaensis, Yecora に近いものだと思われます。
そして、2000年代後半から出回り始めたものが chihuahuaensis ‘Ruby Blush’ なるもので、中には桃太郎と混同して流通してしまったものもあるように思われます。
ひょっとすると、Yecora以外はすべて同じものではないか?
それとも、たまたまチワワ名で桃太郎を買ってしまったのか?
気にしだすと夜も眠れなくなるのも魅力です。
何が正しいかを突き詰めることが目的ではないので、トップ画像はどれにも似ていないタイプにしています。
すべて集めて通年で観察してみるのも楽しいですね。
販売情報
チワワエンシスは、時代に応じて注目度が変わり、100円ショップで買えることもあれば数千円に跳ね上がることもあります。
魅力/特徴
チワワエンシスの魅力は、犬のチワワと同じ産地であるかわいらしい名前、鋭くとがった爪とピンクの色合いとのバランスの良さ。
交配ブームの中で人気が上がり、5,000千円を超える価格まで上昇したと思いきや、落ち着いてからは100均で買えるものが出回ったりしたことも。
昔を知っている人にとっては変動に驚くかもしれませんね。
斑入りのタイプも魅力的です。
チワワエンシス錦
とてもきれいな覆輪斑が入ったタイプです。
育て方のコツ
チワワエンシスは比較的育てやすいです。
他のエケベリアと特段育て方を変える必要はないと思います。
昔ながらのチワワエンシスは、まれに生長点がつぶれてしまうケースがあります。
そこで成長が止まるわけではないので、茎から子株が出てくるのを待ちましょう。
交配種
チワワエンシスの交配種といえば、桃太郎が最も流通しています。
爪が強調されるケースが多いので、爪好きの方には頼もしい原種です。
近年話題となっている交配種の片親がチワワエンシスということもあり、これからの時代、さらにチワワ交配旋風が巻き起こるかもしれませんね。
その他の交配種も載せておきます。
Blue & Yellow
チワワエンシス × 花うらら
以上、チワワエンシスの紹介でした。
桃太郎論争、価格競争や新種誕生など、何かと話題の絶えないチワワエンシス。
それを抜きにしても魅力あるエケベリアですので、ぜひ育ててみてくださいね!