【経験者が語る】失敗から学んだエケベリアの育て方を解説

エケベリアは多肉植物なので、毎日水やりをしなくても枯れることはありません。
そのため、枯れない程度に育てている分には手間がかからない植物といわれています。

されど、エケベリアはメキシコや中南米が原産の植物。
日本のジメジメとした気温、氷点下といった厳しい環境には強くありません。
昨日まで元気そうだったのに、突然枯れてしまった・・・ということはしばしば起こります。

また、日照不足や水の与えすぎで不格好になってしまうこともあります。

美しい姿を長く楽しむためには、それなりに管理してあげる必要があります。

この記事では、失敗を通じて学んだ経験に基づき、最低限知っていただきたい基本的な育て方をお伝えします。

ヒロ

基礎知識を持っていても、実際にはうまくいかないことの連続です。
よく観察し経験から学ぶことで、環境に合った育て方を見つけてくださいね!

目次

置き場所

日当たりの良い場所に置く

エケベリアを育てるために重要なことは、日当たりの良いところに置くことです。
最低でも 1日4時間以上 は日が当たる場所に置いてあげたいところです。
そうすることで、次のような効果があります。

・よく締まった美しい形になる
・色づきがよくなり美しく紅葉する
・免疫力が上がり病気になりにくい

一方、日当たりの悪い場所に置くと、次のような現象が起こります。

・光を求めて茎が伸びる(徒長)
・葉が開いたり逆に反ってしまう
・色づきが悪くなり紅葉しなくなる
・免疫力が落ち病気にかかりやすい

日照不足になると、まるで別の植物のように、勢い良く成長したりだらしなく形を変えてしまいます。

ヒロ

日光を十分当てることで、水分の蒸発を防ぐために葉を引き締めて成長スピードを遅くしますが、日照不足だと存分に成長してしまうために形が変わってしまいます。

風通しの良い場所におく

エケベリアにとって、風通しはとても大事です。

風によく当たることで、日差しを当てた場合と同じく、水分の蒸発を防ごうとしてよく締まった形になります。
また、カビや細菌の増殖を防ぐことができ、害虫の発生も抑えることができます。

インドアグリーンにはあまり向かない

室内は置き場所としてあまり向いていません。

観葉植物と同じように室内の半日陰で育てていると、数日後には徒長が始まるでしょう。
ホームセンターや園芸店などで販売されているエケベリアの多くが元気がなさそうに見えるのは、日陰に置いてあることが主な原因です。

もちろん、室内管理ができないわけではありません。
日当りのよい窓ぎわで、日中窓を開けて風を当ててあげれば十分綺麗な形を保つことができます。

理想的な置き場所は、日の良く当たるベランダや屋外の雨の当たらない場所、ハウスなどです。

ヒロ

室内でLEDライトを当てて育てる方法もあります。

いきなり強い日差しを当てない

エケベリアは日照を好みますが、日照不足が続いたあとや、徒長した状態で購入した時など、いきなり強い日差しを当てるのは要注意です。

人間でもいきなり長時間日焼けすると火傷するのと同じで、エケベリアも葉が焼けることがあります。
焼け方次第では枯れてしまうこともあります。

日照不足で葉が弱ってみえる場合には、少し遮光した状態で日に当てるようにして、徐々に慣らしていくとよいでしょう。

水やり

エケベリアを育てるうえで次に大事なのは水やりです。
季節に応じて気をつける必要があります。

春の水やり

春は成長期なので、一回の水やりで鉢から水がこぼれ出るまでたっぷり与えます。
天気予報を確認して、晴れが続くときに水やりをしましょう。
もし天気が数日崩れそうなときに水やりした場合は、なるべく風通しの良いところに置くとよいです。
水を与えすぎると徒長の原因になるので、土が完全に乾いてからで十分です。

粉の少ないエケベリアには、頭から水をかけて汚れを落としてあげるとよいです。
ただし、葉の間などに水が残ったままだと、強い日差しで葉焼けしてしまったり、隙間にたまった水が原因で腐る可能性もあるので、吹き飛ばしてあげるとよいです。

夏の水やり

夏は特にタイミングに注意が必要です。
梅雨入りで天気が悪い日が続くときは、なるべく控えたほうが良いです。
ただし、葉に元気がない場合には天気の良い日に水を与えてあげてください。
全身に水をかけると、葉のすき間に水が残って腐る可能性があるため、根元に少し与えるか、腰水で吸い上げる方法が無難です。

真夏になってからは、日中の気温が上がる時間帯を避けて、夕方の涼しくなった時間帯に少量あげる程度で十分です。
休眠している苗に水を与えると根腐れする可能性があるので、涼しい場所に移動して様子をみましょう。

熱帯夜が続く場合は水やりを控えたほうが良いです。

秋の水やり

春と同様に成長期に入るため、鉢が乾いたら天気の良い日にたっぷり水を与えてあげてください。
寒くなるにつれて水やりのタイミングを控えめにすると、締まった株になって紅葉しやすくなるでしょう。

冬の水やり

天気予報をみて、氷点下になるようなら水やりを避けてください。
鉢が完全に乾燥して葉に元気がなくなっているようなら、氷点下の予報が続かない天気の良い日に水やりしてもよいでしょう。

植え替え

植え替えのタイミング

植え替えは、成長期に入る3~4月や残暑が過ぎた10~11月がベストです。
植え替えしてしばらくは根が張らず安定しないので、株が弱りやすい夏の植え替えは避けたほうが良いでしょう。

必ずしも毎年植え替えする必要はありません。
ただし、水やりの際に水が鉢にすぐ吸収されない場合、根詰まりしているか土が固まっている場合があるので、水はけのよい土に植え替えてあげてください。
鉢いっぱいに成長している苗は、根がぎっしり詰まっている可能性があります。
放置しておくと根腐れの原因になるので、一回り大きい鉢に植え替えてあげてください。

ヒロ

元気がなさそうな苗があれば、植え替えついでに根腐れチェックをしてあげましょう。

植え替え方法

鉢から抜いた後、根を痛めないように土を落とします。
その際、古い根や痛んだ根があれば、消毒したハサミで切り取ってあげましょう。
消毒なしで使いまわしていると、苗がバイラスに感染するリスクがあります。

元気な根を切ってしまった場合には、すぐに植え替えず、根が乾燥するまで待ちましょう。
水やりは数日控えてからのほうが安全です。

用土

エケベリアは、市販の多肉植物用の土で十分育ちます。
慣れないうちは、根詰まりしないように水はけのよい土がおすすめです。

軽石が多いタイプの土は、水はけがよすぎて成長速度が遅くなりがちです。
慣れてきたら、育成の目的に合わせて土の配合を調整してみてください。

ヒロ

コンパクトに育てたい場合は水はけがよい土のままでもよいですが、サイズを大きくしたい場合は、緩効性の肥料を入れたり、赤玉土や腐葉土、堆肥などを多めにするのもよいです。液肥は成分しだいで急激に巨大化してしまうこともあるので分量に注意が必要です。

夏越し対策

湿気が多く気温が高い日本の夏は、乾燥したメキシコ原産のエケベリアにとっては酷な環境です。
特に原種は夏に弱いタイプが多いので、気温が上がる午後は風通しの良い涼しい場所に移してあげるのがベストです。

また、強い日差しにも注意が必要です。
梅雨明けや台風一過などで強烈な日差しを浴びると、一気に葉焼けしてしまう可能性があります。
天気予報をみて、日差しが強そうな日には事前に遮光ネットを張るようにしてあげましょう。

真夏の場合、遮光率20~30%の白いネットでは効果がない場合があるので、50%くらいの黒いタイプのほうが安全です。

とはいえ、エケベリアにもタイプによって耐性が異なります。

・遮光率低めが良いエケベリア:ラウイ、カンテ、メキシカンジャイアントのような白粉系
・遮光率高めが良いエケベリア:アフィニス、紅司、その他濃いめの原種

遮光ネットをかぶせると風通しが悪くなり、蒸れでカビや細菌が発生したり、虫がつきやすくなります。
サーキュレーターや扇風機などで風を当ててあげるとよいでしょう。

ヒロ

熱帯夜が続くと高温障害で株が弱ってしまうので、熱を逃がしにくい濃い色の原種などは、夜にエアコンの効いた室内にとりこんでいます。

冬越し対策

冬に気を付けなければいけないのが凍結です。

エケベリアは比較的寒さに強いです。
水やりを控えて引き締まった株にしておけば、耐寒性が強くなりマイナス1℃くらいであれば凍結しません。

ただ、油断して水やりをしてまうと、完全に凍結してしまうことがあります。
中には、葉が透明になってしまうものも出てきます。
過去の経験では、透明になると枯れてしまいますが、日陰で自然解凍させることで元に戻るものもあるようです。

ベストなのは凍らない環境を作ること。
氷点下になりそうな場合には、室内に取り込むか、ハウスなら暖房を使用するのが一番安心です。
どちらもできそうもない場合は、以下のような対策をとることで、少しでも凍結しづらい環境をつくってあげましょう。

● できるだけ凍結しにくい場所に移す
● 新聞紙や不織布をかける
● 棚ごとビニールやプチプチで覆う

害虫対策

カイガラムシ

全国どこでもいつでも発生しうるのが カイガラムシ です。


近年では、販売業者さんの管理が行き届いており発生が減っているかもしれませんが、購入してからしばらくするといつの間にか発生しているかもしれない厄介な害虫です。

葉の隙間などに住み着き、水分を吸って粘着質な液体を出すので葉が汚くなります。
放置しておくと葉の中心部にまでやってきて、育成を阻害します。
対策として、オルトランDXなどの薬剤を植え替えの時に土に入れておくか、水に溶かして水やりすることで退治できます。

ハダニ

次に注意が必要なのは、ハダニ です。

ハダニが発生すると、吸われた葉の部分が黒くくすんだようになります。
被害が進むと、炭のように真っ黒になって最終的に枯れてしまいます。

ハダニは、夏場の遮光をした風通しの悪い環境で発生しやすいです。
アガボイデスやアフィニスのような葉の表現がつるつるしているタイプが被害を受けます。
ラウイのような粉におおわれたタイプは、粉に守られて被害を受けません。
また、雨ざらしにしている場合には、雨でハダニが流されて被害を受けにくい傾向にあります。

ハダニが発生した場合には、ダニ太郎などのダニ用の薬剤を散布することで退治できます。
また、葉全体に水やりするか、葉水を定期的にしてあげることで、ダニを洗い流す効果があります。

ヒロ

2011~14年頃にかけて、夏になると各地でハダニが大発生しました。
当時、原因がわからず愛好家さんたちの間で「黒化」といって恐れられました。

その他の害虫

地域によっては、アブラムシ、アザミウマ、ネジラミなども発生します。

アブラムシは花芽に集中することが多いです。
これらの害虫は、風通しの悪いところで放置しておくと発生しやすくなります。
見つけたらベニカXファインスプレーなどの薬剤を散布することで退治でいます。

予防としては、適度に風通しの良い環境に置いて、水やりする際に株全体を洗い流すようにたっぷりかけてあげると発生を抑えることができます。

雨ざらしにしている場合には、ナメクジにも注意が必要です。
被害にあったら、ナメクジカダンなどのナメクジ用の薬剤で退治しましょう。

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